銀翹散の苦みの生薬ってなんなの?
みなさん、こんにちは!
漢方薬剤師の玄(@gen_kanpo)です。
漢方薬を飲んでいて
「うわ、苦い……!」と思ったことはありませんか?
実はこの“苦み”、とても重要な働きをしてくれています。
中医学では『五味』のうち「苦」は、
- 熱(炎症)を冷ます
- 体内の余分な水を出す(利尿)
- 毒素を排出する(解毒)
といった作用があります。
この“苦み”を代表する生薬が、今回ご紹介する
清熱解毒薬の主役『金銀花(きんぎんか)』です!
- 熱が出やすく、風邪をひきやすい
- のどの痛みや目の充血がよく起きる
- 苦いけど効く生薬を知りたい
金銀花ってどんな生薬?

金銀花は、スイカズラという植物のつぼみを乾燥させたもの。
和名は「スイカズラ」、中国では「忍冬(にんどう)」とも呼ばれています。
日本や中国、朝鮮半島などに広く自生し、茎や葉の部分は「忍冬(にんどう)」として別の用途で使われます。
同じ植物でも、使う部位によって名称や効能が異なるのは漢方ではよくある話です。
金銀花
大きくわけると清熱薬というジャンルで、体の熱を清める作用があります。
中国では双花ともいわれるようです。
【性味】 甘 寒
【帰経】 肺 心 胃
個人的には比較的浅い(体表面)の熱(炎症)を鎮めるイメージです。
そのため
- 熱が強い風邪
- のどの痛み
- 皮膚炎
体表面近くにある炎症や熱感を冷ますイメージです。
だからこそ、のどの痛みや皮膚の赤み、目の充血などの「浅い炎症」に特に有効。
夏場にはお茶として飲む地域もあり、冬にはうがい薬としても使われています。
最近では、金銀花のど飴なども市販されていますね。
喉の痛みが出た急性期などには、こうした製品も取り入れてみると良いかもしれません。
どんな症状に使うの?
- 熱感の強い風邪(のどが痛い・黄色い痰など)
- 皮膚の炎症(赤み・腫れ・化膿)
- 熱性の下痢(べたつき・灼熱感あり)
- 目の充血・かゆみ
代表的な漢方薬は「銀翹散(ぎんぎょうさん)」「荊防敗毒散(けいぼうはいどくさん)」など。
どちらも急性期に使う“解毒”処方として活躍します。

金銀花はお茶としても使われており、のどがイガイガする時や、体に熱がこもっていると感じる時にぴったりです。
飲み方はとても簡単で、体調や好みに応じて煎じる方法とお湯出しの方法があります。
- しっかり成分を引き出したいときは:
乾燥した金銀花を10〜15gほど使い、水500ml程度と一緒に鍋に入れます。
沸騰したら火を弱め、7〜10分ほどコトコト煮出してからこして飲みます。 - 手軽に飲みたいときは:
金銀花を2〜3g程度カップに入れ、熱湯150ml前後を注ぎます。
5分ほど蒸らせば、ほんのり苦味のある清涼感のあるお茶のできあがりです。
のどのケアには、飲むだけでなくうがいとして使ってもOK。
ほんのり苦味はありますが、体の中から熱を冷ましてくれるような、すっきりとした味わいです。
清熱解毒(せいねつげどく)
金銀花のメインの働きです。
発熱、のどの痛み、皮膚の赤み、腫れなどに有効です。
凉血止痢(りょうけつしり)
熱性の下痢にも効果が期待されます。
辛いものを食べ過ぎたときや、夏場の細菌性下痢などが代表例です。
疏散風熱(そさんふうねつ)
「風邪」の邪気+熱の邪気=風熱
風熱の特徴は、悪寒よりも発熱・のどの痛み・多汗・口の渇きが強いこと。
黄連や黄芩よりも“表面的な症状”に強いのが金銀花の特徴です。
忍冬(にんどう)
金銀花と同じ植物の茎葉を使ったのが「忍冬(にんどう)」。
成分的には同等とされますが、
急性期の炎症には金銀花のほうがすばやく効く印象です。
ただし、価格は金銀花の半分以下。
処方によっては忍冬で十分な場合もあり、コスパが非常に良いです。
代表処方は「治頭瘡一方(ぢづそういっぽう)」など。
まとめ

金銀花は苦いけど、しっかり効く!
とくに以下のようなときに重宝されます。
- 熱の強い風邪
- のどの痛み
- 皮膚炎
- 熱性の下痢