みなさん、こんにちは!
漢方薬剤師の(@gen_kanpo)です。

「なんだかイライラする」
「気分が不安定になる」
「胃腸の調子が不安定になる」

春になると、こうした変化を感じる人は少なくありません。
実はこの原因、春は「体の中の将軍」が活発になる季節だからです。

春は、自然界でも芽が伸び、外へ外へと広がっていく季節。
この動きに合わせて、体の中でもエネルギーが外へ向かいやすくなります。

体の中の将軍――それが五臓の「肝」です。

本来はこの流れをうまくコントロールしてくれる存在ですが、
強く働きすぎるとバランスを崩しやすいという一面もあります。

今回は、この「将軍」である肝の働きと、
将軍が暴れたときに起こる不調について、わかりやすく解説していきます。

玄先生
玄先生
この記事がオススメの人
  • 春に調子が悪い
  • イライラしやすい
  • モヤモヤする

五臓の「肝」は将軍の官

中医学では、五臓のひとつである「肝(かん)」は「将軍の官」と呼ばれます。

将軍とは、軍を率いて指揮をとる存在。
敵に対して素早く反応し、時に攻撃を行います。

五臓の肝も同じように、体を害する病邪に対して働き、全体のバランスを守っています。

さらに将軍は、ただ戦うだけではありません。
戦況を読み、「どう動くか」を考え、全体をうまく動かしていく役割もあります。

体の中の「肝」も同じです。

肝は体を守るとために、

  • 気(エネルギー)の流れをコントロールする
  • 感情の動きを調整する
  • 考えすぎや迷いを整える

といった、体の「司令塔」のような役割を担っています。

※心は君主

この働きがうまくいっていると、冷静に物事を判断でき、気持ちも安定します。

しかしバランスが崩れると、

  • イライラしやすい
  • 不安が強くなる
  • 同じことをぐるぐる考えてしまう

といった状態になりやすくなります。

玄先生
玄先生
特に女性では、肝血の不足が関わり、PMSや気分の落ち込みとして現れることもあります。
※後述

肝は「剛臓」

この肝にはもう一つ特徴があります。
それが「剛臓(ごうぞう)」※肝為剛臓(肝は剛臓である)であること。

「将軍の官」である肝はエネルギーが強く、変化に敏感な臓です。

ストレスから体を守る将軍のため、強く、すぐに反応する反面、刺激に対して過敏にもなりやすいという特徴があります。

普段は問題なく働いていても、

  • 過度なストレス
  • 急な環境の変化(病邪)
  • 我慢の積み重ね

などが続くと、ある時一気にバランスを崩すことがあります。

これはまさに、将軍が一気に暴走する状態

青さん
青さん
強くてたくましいけど、気難しい将軍のイメージにピッタリね。

春は肝が敏感になる季節

五行説で肝は「木」に属します。
同じ気に属する季節は春。

春は五臓の「肝」が敏感になる季節です。

春という季節が、

  • 上へ伸びる
  • 外へ広がる
  • 活動的になる

といった性質を持っているため、体の中でも肝の働きが活発になります。

玄先生
玄先生
春は「肝が強く出やすい季節」。
ちょっとしたストレスや疲れでもバランスを崩しやすくなるのです。

肝の働き①:疏泄(そせつ)

春に敏感になる五臓の肝の生理機能「疏泄」に関して中医学的に解説した画像

その大事な機能の一つが
疏泄(そせつ)】です。

疏泄とは、体や心の流れをスムーズにする働き。

  • 気をめぐらす(血や津液にも影響)
  • 精神を安定させる
  • 消化を助ける(胆汁の生成・排泄など)

この流れが整っていることで、心も体もバランスが保たれます。

しかし、ストレスや環境の変化などで肝に負担がかかると、気の流れが滞り

  • イライラや不安
  • ため息が増える
  • 消化不良

といった不調が起こりやすくなります。

疏泄の乱れ→胃腸の弱り

疏泄の乱れは「胃腸の弱り」にもつながります。

春に起こる胃腸の不調は単なる食べ過ぎ・飲みすぎだけでなく、五臓のバランスの乱れが関係しています。

春は「肝」が敏感になる季節。

この肝が強くなりすぎると、
相克の関係である「脾(=胃腸)」を抑えすぎてしまうことがあります。

玄先生
玄先生
これを中医学では「木乗土」の状態といいます。

その結果、

  • 胃腸が弱る
  • 食べ物からエネルギーを作れない
  • だるい・疲れやすい

といった状態になりやすくなります。

これが一般的に、春バテや春困(しゅんこん)と呼ばれる症状の原因の一つです。

春困についての記事はコチラ

玄先生
玄先生
「肝」は外界の変化やストレスから体を守る将軍
その反応が強く出すぎることで、知らないうちに胃腸へ負担がかかっていることもあります。

肝の働き②:蔵血(ぞうけつ)

肝の働きでもう一つ重要なのが
【蔵血】の働きです。

読書は目に、運動をすれば筋肉に血(けつ)が必要になります。
これらを調節し、必要以上の血を肝に蓄えるのが肝の役割です。

必要な血(けつ)の量は、精神状態や環境によっても変化します。

また、中医学における血(けつ)は、単なる血液ではなく、精神を安定させる土台としての役割も持ちます。

血は「陰」に属し、陽気の暴走を抑え、体を落ち着かせ、動きすぎを抑える働きがあります。

そのため血が不足すると、

  • イライラしやすい
  • 落ち着かない
  • 眠りが浅い
  • 体が火照る

といった、陽が暴走した状態が起こりやすくなります。

春の養生|将軍を暴れさせない「整え方」

では、「将軍の官」が暴走しやすい春はどのように過ごせばよいではしょうか?

春の養生で大切な考え方が、木喜条達です。

これは「木はのびのびとした状態を好む」という意味。

春に敏感になる「肝」は、五行説では「木」に属します。
気は太陽に向かって「のびのび」と成長していくもの。肝も抑圧や我慢を嫌い「のびのび」とした状態を好む臓です。

しかし春は、

  • 活環境の変化
  • 気温差
  • 気圧の変動

などが重なり、知らないうちにストレスが溜まりやすい季節です。

その結果、将軍である肝がバランスを崩し、イライラや不調として現れやすくなります。

だからこそ春は、頑張るよりも「整える」ことが重要です。

具体的には、

  • 軽い運動(散歩など)
  • 深呼吸
  • 髪型、服装もゆったりとしたものにする
  • リラックスする時間を作る

といった習慣で、
気の流れをスムーズにすることが大切です。

イライラしたときは、「あ、今ちょっと将軍が暴れているな」と一歩引いてみる。

それだけでも、バランスは整いやすくなります。

春はスタートの季節であると同時に、「乱れやすい季節」でもあります。

玄先生
玄先生
攻めるより「のびのび」整える。それが、春を無理なく乗り切るコツです。

まとめ

春は体の中の「将軍」である肝が活発になる季節。
その分、バランスも崩れやすくなります。

特にストレスや環境変化が重なると、
気の流れが乱れ、不調として現れやすくなります。

  • 肝は「将軍」であり体の流れをコントロールする
  • 春は肝が活発になり不調が出やすい
  • 疏泄の乱れでイライラや不安が起こる
  • 肝の暴走は胃腸の弱りにつながる
  • 対策は「頑張る」より「のびのび」
玄先生
玄先生
将軍は味方にすると心強い!でも、敵に回すと恐ろしい!
ぜひ、うまく手なずけましょう。
ABOUT ME
漢方薬剤師 玄
✅資格:国際中医師 | 薬剤師 |健康運動実践指導者 ✅漢方相談歴10年以上✅胃腸を中心とした漢方相談が特徴。✅健康や中医学の情報を『楽しく面白く』発信中。 お気に入りにするとあなたの生活の質がちょっぴり向上するかも!