みなさん、こんにちは!
漢方薬剤師の玄(@gen_kanpo)です!
『夏は野菜が美味しい!!』
…まぁ冬も美味しいんですけどね(笑)
旬の夏野菜は当然『夏にオススメの食材』です!
野菜ごとの特徴がありますので自分の体調に合ったものを選ぶようにしましょうね!
- 夏に熱がこもる
- 夏バテしやすい
- 浮腫みやすい
夏野菜
夏野菜は一般的に水っぽく栄養価が低いイメージがあるようです。
実際は強い太陽の光を浴びて育つため栄養素がたっぷりと詰まっています。
水っぽいではなく『水分が多く含む⇒身体にこもった熱を去り潤す』こんなイメージの方が良いと思います。
※温める作用の野菜もあります
カリウムやカルシウム、鉄や亜鉛といったミネラルが豊富。
β-カロテンや葉酸などのビタミン、食物繊維、ポリフェノールなど夏に必要な栄養が豊富に含まれているものが多いです。
きゅうり
性味 :寒性 甘味(本によっては涼)
帰経 : 胃、(大・小)腸
- 体の不要な熱を去る
- 利尿作用でむくみを去る
- 体、口を潤す
夏に冷やして食べる野菜といったら「キュウリ」
『世界でいちばん栄養が少ない野菜』
というニックネームがありますが少し誤解があるようです。
これは…
『最も熱量が低い(ローカロリーな)果実』
というのが変な風に広まってしまったようです。
実際はカリウムやビタミン、食物繊維も含むので栄養が全くないわけではありません。
とはいえ、90%が水分なのでダイエットには向いている食材です。
薬膳的には夏に欲しい作用がたくさんなので暑い日は積極的に食べていきたいですね。
茄子(なす)
性味:寒性 甘味(本によっては涼)
帰経:脾・胃・大腸
- 身体の不要な熱を去る
- 浮腫みを去る
- 血を流れを改善
- 脾胃の機能を高める
夏の暑さにもってこいのナス。
【秋茄子は嫁に食わすな】
という言葉はナスが体を冷やすため秋で気温が下がり始めた時に女性に食べさすな!
って意味もあります
※諸説あり
皮にはナスニンと呼ばれるポリフェノールが含まれ抗酸化作用を含むと言われています。
薬膳的には血が滞りやすい人に!
特に涼血活血作用なので『熱+瘀血』タイプにオススメです。
※生理前に火照るなど
トマト
性味 :微寒性 甘・酸味
帰経 :肝・脾・胃
- 体の不要な熱を去る
- 体・のどを潤す
- 胃の機能を高める
トマトはリコピン、βカロチン、カリウムと現代人が欲しい栄養がたくさん詰まっています。
高い抗酸化作用から「食べる紫外線対策」などとも言われいます。
夏場は積極的に食べていきたい夏野菜の1つですね。
薬膳的にはナスと同様冷やす作用があるトマト。
潤す作用もあるので汗で体液を失った時などに適しています。
胃腸の機能を高めますが微寒性なので単独で取り過ぎるのはNG。
熱を加えても美味しいのでスープなどにしてみても良いかもしれません。
またトマトの抗酸化作用であるリコピンは加熱により吸収率が高まるのでダブルでお得です。
ピーマン(パプリカ)
性味:平性 辛・甘味(本によっては平→温)
帰経:肝・心・胃・腎(本によっては肺にも帰経)
- 気の巡りを良くする
- イライラを去る
- 胃の動きをよくする
ピーマンは、ビタミンCが豊富に含まれています。
緑のものはピラジンという血栓防止に期待される栄養素を多く含み、赤・黄色のものはカプサンチンという抗酸化成分を多く含んでいます。(緑→未熟な状態 赤・黄色→完熟)
パプリカ(赤・黄色などの色のピーマン)は苦味や青臭さが少なく見た目も良いのでサラダやマリネなど生で食べても美味しいです。
日差しの強い夏にはパプリカの抗酸化作用が大事ですね。
東洋医学的には夏は陽気が高ぶりやすい季節です!
そんな夏に何だかイライラする人はピーマンがオススメ。
「怒り」を管轄する「肝」の気を巡らす作用があります。
それと同時に胃の動きも改善する作用があるので「イライラして食欲不振」なんて時にばっちりですね。
オクラ
性味 :平性 甘・苦味(本によっては苦⇒酸 平⇒涼)
帰経 :脾・胃・腎(本によっては腎⇒肝)
- 脾胃(胃腸)を元気にする
- 消化を助ける
- 体を潤す
- 便通改善
「オクラ」のネバネバはムチン、ペクチンと言われるタンパク質で肝臓や腎臓の機能を助け、胃の粘膜を保護するのに役だつとされています。
また水様性の食物繊維が糖分の吸収をゆるやかにしたり、便通の改善に役立ちます。
『ネバネバ=スタミナ食』
こんなイメージがあるかもしれませんが本当のスタミナ食とは胃腸を元気にする物。
そういった意味では脾胃の機能を高める『オクラ』は夏バテ気味にもってこいかもしれません。
体を潤す作用もあるので汗で体液を失ったときにバッチリです!
とうもろこし
性味:平性 甘味
帰経:脾・肝・腎
- 不要な湿気と熱を去る
- 脾肺を補う
脾胃(胃腸)を補う黄色い食材の代表選手「とうもろこし」
湿熱を去る効果と補う効果で夏に疲れた時などにとてもオススメ。
脾胃の味は「甘」になりますが砂糖の甘味ではなく「とうもろこし」のような甘みを指します。
ただ、粒の皮には食物繊維が多く含まれているため食べ過ぎ胃腸が疲れすぎてる人はNG。
よく噛みましょう!
また糖質も多く含まれる意味でも食べ過ぎは避けましょう。
ビタミンや必須脂肪酸も含まれるのでご飯やパンの代わりにしましょう。
ちなみに…
トウモロコシの髭(ひげ)は
- 南蛮毛
- ナンバの毛
- 玉米鬚(ぎょくべいじゅ)
こんな名前で呼ばれる立派な生薬です。
性味:甘・平
帰経:肝・腎・膀胱・心・小腸
- 浮腫みを去り、腫れを去る
- 黄疸対策に
浮腫みやすい人はトウモロコシを食べた後は乾燥させた髭を煎じてお茶にしてみましょう。
枝豆
性味:平性 甘味
帰経:脾・胃・腎
- 胃腸を調え気血を作る
- 体の不要な湿気を去る
- 酒毒を去る
枝豆は大豆の未成熟な豆の事を言います。
完熟すると大豆なので当然タンパク質は豊富です。
その他にもβカロチンやビタミン、鉄分も含みます。
アルコールを分解する酵素も含まれているのでお酒のおつまみにもってこい!
薬膳的には気血を補うので夏の疲れにオススメ!
胃腸の事を考えるとシンプルに塩ゆでして食べるのがオススメ!
よく考えられた組み合わせですね!
スイカ(西瓜)
性味: 甘・寒性
帰経: 心・胃・膀胱
- 熱と暑さを去る
- 気持ちを落ち着かせる
- 利尿作用
スイカは95%が水分。
糖分・ミネラルを含むので少しの塩をかけて食べるとまるで「天然のスポーツドリンク」です。
スイカにはトマトに含まれる有名な「リコピン」も含まれているとされています。
熱中症対策にもってこいです。
中医学の世界では「天然の白虎湯」と称されるスイカ。
白虎湯とは熱病の初期に使う代表漢方薬です。
冬瓜(とうがん)
性味 : 甘・味、涼性
帰経 : 肺、大腸、小腸・膀胱
- 体の不要な熱を去る
- 利尿作用
名前は冬瓜ですが夏にオススメの食材です。
そして名前は冬瓜ですが旬は夏です。
名前の由来は
『冷暗所で保存しておけば、冬までもつことから』
だそうです。
カリウムを含んでいるので塩分の摂りすぎの人に!
ビタミンCも含み夏の紫外線対策にも良いですね。
薬膳的には不要な湿気と熱を去るのでムシムシ暑い日にgood!
【夏バテ予防に瓜とスペアリブスープ】
苦瓜or冬瓜(大きなぶつ切り)+スペアリブ(大きなぶつ切り)+生姜(スライス)+塩(少し)
材料はこれだけ。全部入れて、水を浸るぐらい入れ極弱火で20分以上煮る。時間をかければかけるほど美味い。 pic.twitter.com/iNC4cg3t74
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モロヘイヤ
性味:涼 甘・苦味
帰経:肺・肝・腎・脾
- 身体の熱を去る
- 身体の湿気を去る
- 気を補う
- 便通をよくする
- 目に栄養を与える
- アンチエイジング
クレオパトラも好んで食べたとわれ「野菜の王」と呼ばれるほど栄養価が高いモロヘイヤ。
アラビア語で「王様の食べる野菜」という意味だそうです。
ビタミン、ミネラルなどが豊富とされています。
特に抗酸化作用があるビタミン類が豊富なので夏にとてもオススメです。
ネバネバはオクラと同じムチンです。
薬膳的な効能もたくさんあります。
湿熱を去り、脾・肝・腎を補うというバランスの良さ。
個人的には夏に最もオススメの野菜です。
「王様の食べる野菜」の由来は…
『昔、エジプトの王様が重い病気にかかった際、どんな薬を飲んでも治らなかったのに、モロヘイヤのスープを飲んだら回復した!』
このエピソードと同じようにスープにすると胃腸に優しく夏バテにもってこいの料理になります。
みょうが
性味 :温性 辛味
帰経 : 肺・大腸・膀胱
- 発汗により体表面の風寒の邪を去る
- 冷えを去る
- 腫れや凝りを去る
- 気を巡らせ胃の動きを改善
夏の冷えには『みょうが』がオススメ。
暑い夏はどうしても冷たい食事が多くなるので薬味を上手に使いましょう!
冷たい素麺(そうめん)などの薬味としてみょうがを添えると冷え対策、胃腸の不具合に対して良いです。
みょうがの独特な香りは『α-ピネン』という成分で食欲増進効果があります。
同じ使い方でネギや紫蘇などでも代用可能です。
発汗作用があるので熱タイプは量を加減しましょうね!
薬味はお薬の味だよ!体調に合わせて上手に使っていこう。
そういえば夏に鰻(ウナギ)はどうなの?
よく『土用の丑の日は鰻(ウナギ)を食べる』と言いますよね。
夏バテ防止の食べ物の筆頭に挙げられる鰻。
性味 : 甘・平性
帰経 : 肝・腎・脾
- 気血を補う
- 筋肉・骨の強化
- 血の巡りをよくする
- 咳を止める
って感じの夏バテによさそうな効能ね~☆
ただ、夏バテの原因の一つは『胃腸の疲れ』です。
甘辛いタレをつけたこってりした鰻は疲れた胃腸には大ダメージ。
食べるなら『白焼き』のようにサッパリ食べると良いでしょう。
『土用の丑の日』は『う』のつく食べ物を食べると夏バテしないと言われています。
体調に合った『う』の食べ物を選ぶようにしましょう。
ちなみに…
天然のウナギの旬は産卵に向けた初冬。
旬が冬なので夏は『うなぎ屋』売り上げが落ち込みます。
そこで、うなぎ屋が江戸の学者『平賀源内』に相談したところ、
「『本日土用の丑の日』と書いた貼り紙を出して宣伝すれば?」
とアドバイスしたのがきっかけで全国に広がったと言われています。
※諸説あり
まとめ
夏の体調不良にオススメの『夏野菜』
強い日差しを浴びて栄養たっぷりです!
自分の体調に合った夏野菜を選べるようにしましょうね。
今回の夏野菜を簡単にまとめると…
- 体の潤い不足・火照る⇒きゅうり・ナス・トマト・スイカ・冬瓜
- 夏のイライラ⇒ピーマン(パプリカ)
- 元気不足⇒オクラ・とうもろこし・枝豆・モロヘイヤ
- 冷たい飲食物の過食⇒みょうが
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