【漢方薬剤師が解説】ミズナイン(越婢加朮附湯)の効果とは?成分・牛車腎気丸との違いも紹介

みなさん、こんにちは!
漢方薬剤師の玄(@gen_kanpo)です。
最近、小林製薬から発売されている「ミズナイン」という商品を見かけることがあります。
パッケージには「ひざにたまった水を減らして痛みに効く」とあり、
「膝の水に効く漢方なの?」
「本当に水が抜けるの?」
「どんな人に向いているの?」
と気になる方も多いと思います。
実はこの中身は有名な漢方薬です!
そこで今回は、ミズナインについて、漢方薬剤師の視点から成分・処方・中医学的な考え方をわかりやすく解説していきます。
- 膝に水がたまると言われたことがある
- 膝の腫れや痛みが気になる
- ミズナインが自分に合うか知りたい
- 他の漢方との違いを知りたい
ミズナインってどんな市販薬?


ミズナインは、小林製薬から販売されている第2類医薬品の漢方薬です。
処方名は、越婢加朮附湯(えっぴかじゅつぶとう)。
効能効果と用法用量
【効能・効果】
体力中等度以上で、冷えがあって、むくみがあり、のどが渇き、汗が出て、ときに尿量が減少するものの 次の諸症:むくみ、関節のはれや痛み、筋肉痛、湿疹・皮ふ炎、夜尿症、目のかゆみ・痛み【用法・用量】
大人(15才以上)1回4錠、1日3回食前又は食間に水又はお湯で服用してください(15才未満は服用しないこと) 小林製薬のホームページより引用
越婢加朮附湯とは?
越婢加朮附湯を理解するには、まず元になる「越婢湯」を知るとわかりやすいです。
越婢湯は、水分代謝が悪いところに風邪(ふうじゃ)が結びつき、腫れやむくみが出たような状態に使われる処方です。
現在では関節の腫れや熱感、湿疹など、炎症を伴う水分停滞にも広く応用されています。
「風邪(ふうじゃ)をきっかけに体がむくんだような状態」に使う漢方薬だよ!
※感冒(カゼなど)
そこに「朮(じゅつ)」を加えたものが越婢加朮湯。
※朮=白朮or蒼朮
さらに「附子(ぶし)」を加えたものが、ミズナインに使われている越婢加朮附湯です。
【ざっくり整理】
- 越婢湯 … 炎症と水分停滞に対応
- 越婢加朮湯 … 水分代謝をさらに強化
- 越婢加朮附湯 … 冷えを伴うタイプにも対応
ミズナインには、マオウ・セッコウ・ソウジュツ・ブシ末・ショウキョウ・カンゾウ・タイソウが含まれています。
成分を解説


麻黄と石膏の組み合わせ
ミズナインの大きな特徴は、麻黄(まおう)と石膏(せっこう)の組み合わせです。
麻黄は発散し、水分代謝を動かす生薬。
石膏は熱を冷まし、炎症を鎮める方向に働く生薬です。
この2つが組み合わさることで、
「炎症を冷ましながら、余分な水を動かす」
という越婢湯系の特徴が出てきます。
蒼朮で利水を強化
越婢加朮湯の「朮」には、白朮と蒼朮があります。
白朮は脾胃を補う力が比較的強く、脾虚(≒胃腸の弱さ)による「むくみ」に使いやすい生薬です。
一方、ミズナインに含まれるのは蒼朮です。
蒼朮は、どちらかというと余分な湿をさばく「利水・燥湿」の力が特徴です。
また、風邪(ふうじゃ)取り除く作用もあります。
つまりミズナインは、胃腸を補うというより、たまった水を動かす方向に寄せた処方と考えられます。
附子が入る意味
さらにミズナイン(越婢加朮附湯)には「附子(ぶし)」が含まれています。
附子は体を温め、陽気を補い、代謝を高める方向に働く生薬です。
そのため越婢加朮附湯は、炎症による腫れや水分停滞を改善する「越婢加朮湯」に附子を加えることで、
腫れや熱感がある一方で、冷えや代謝の低下もみられる体質
にも対応しやすいよう工夫されています。
そんなタイプにも使われることがあるんだよ!
ただし、附子は作用の強い生薬でもあります。
自己判断で長期間飲み続けるのではなく、症状が長引く場合は専門家へ相談しましょう。
こんな人に!


ミズナインは、急性の炎症や腫れ、水分停滞に対してよく考えられた処方です。
特に、
- 膝が腫れている
- 水がたまっていると言われた
- 痛みや動かしづらさがある
- むくみやすい
- 冷えもある
このようなケースでは、選択肢のひとつになると思います。
ただし、注意点もあります。
ミズナインには、体をしっかり補う「補剤」は含まれていません。
そのため、慢性的に足腰が弱っている方、体力が落ちている方、長年の膝痛がある方に、単独で長く使うタイプの処方ではありません。
他の漢方薬との使い分け
同じ附子が入っており膝の痛みやむくみでよく比較される漢方薬に「牛車腎気丸」などがあります。
- ミズナイン … 急性の腫れ・炎症・水分停滞向き
- 牛車腎気丸 … 腎虚による慢性的な足腰の弱り・むくみ向き
牛車腎気丸は、加齢や体力低下による「腎虚」を補う処方です。
一方、ミズナインは麻黄・石膏・附子など、比較的動きのある生薬が含まれています。
炎症や熱感を伴う腫れにはミズナイン(越婢加朮附湯)の方が適していると考えられます。
牛車腎気丸は腎を補い温めて水分代謝と血流を良くすることが、主眼の漢方薬なので炎症が強い急性期には第一選択になりにくい。
そのため、ベースとしては牛車腎気丸などを長期的に使い、急性の腫れが強い時期に越婢加朮湯系を組み合わせる、という考え方もあります。
ただし、これは体質や状態によって変わるため、自己判断ではなく専門家に相談しましょう。
おすすめしない人・注意が必要な人


ミズナインは便利な市販薬ですが、誰にでも合うわけではありません。
【注意したい人】
- 体力がかなり低下している人
- 胃腸が弱く、下痢しやすい人
- 動悸・不眠・血圧が気になる人
- 長期間症状が続いている人
- 15才未満
麻黄・石膏・附子はいずれも比較的しっかり働く生薬です。
虚弱体質の方や、他の薬を飲んでいる方は注意が必要です。
また、膝に水がたまる背景には、変形性膝関節症、半月板損傷、リウマチ、外傷などが隠れていることもあります。
水だけを何とかしようとせず、原因を確認することも大切です。
漢方薬剤師からワンポイント


中医学では、水分代謝には「脾胃」が深く関わると考えます。
脾胃とは、ざっくり言うと胃腸の働きのことです。
胃腸が弱ると、食べ物からうまくエネルギーを作れず、余分な水分もたまりやすくなります。
そのため、膝の水やむくみが気になる方は、
- 冷たい飲み物を飲みすぎない
- 甘い物・脂っこい物を控えめにする
- 食べすぎを避ける
- 軽い運動で巡りをよくする
- 睡眠不足を避ける
こうした養生も大切です。
薬だけで解決しようとせず、胃腸を守りながら水分代謝を整えていきましょう。
まとめ


最後にポイントを整理しておきます。
- ミズナインは越婢加朮附湯の漢方薬
- 麻黄と石膏の組み合わせで炎症と水分停滞に対応
- 蒼朮で利水を強化している
- 附子が入るため、冷えを伴うタイプにも対応しやすい
- 慢性的な膝痛や腎虚には牛車腎気丸などとの使い分けが必要
- 長引く場合は整形外科や漢方に詳しい専門家に相談する
ミズナインは、急性の腫れや水分停滞には心強い選択肢になります。
ただし、市販薬は万能ではありません。
膝の痛みや腫れが長引く場合、繰り返す場合、強い痛みがある場合は、自己判断を続けず専門家へ相談しましょう。
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※市販薬は体質によって合う・合わないがあります。
購入前に効能・注意事項を確認しましょう。











