精神疾患により医療機関にかかっている患者数は、近年大幅に増加しており、平成26年は392万人、平成29年では400万人を超えています。
内訳としては、多いものから、うつ病、統合失調症、不安障害、認知症などとなっており、 近年においては、うつ病や認知症などの著しい増加がみられます。引用元:厚生労働省ホームページ
ストレス社会の現代『イライラ』『モヤモヤ』『不安感』など患者さんはどんどん増加し珍しい症状ではなくなってきました。
漢方薬は軽い精神疾患の症状の改善をする事ができます。
ただ、もちろん体質や症状によって使う漢方薬は様々です!
今回は私がオススメする精神安定で使う漢方薬を紹介していきます。
目次
漢方で治療できる精神症状

精神疾患に効く漢方はとても多いです。
- イライラ(モヤモヤ)
- 落ち込み、不安感
- PMS
- 驚きやすい
- 憂鬱感、くよくよする
- 産後の精神不安
この様な症状に良く効きます。
軽度のイライラや不安感などで精神科、心療内科に行こうか迷っている人は一度試すのをオススメします。
ただ漢方薬で治療できるのはあくまで軽度の精神疾患
- 自傷行為
- 他人を傷つける
- 幻覚
等は精神科、心療内科にすぐに受診するようにしましょう。
イライラ(モヤモヤ)

中医学では「イライラ」は気血水の「気の滞り」と捉えることが多いです。
特に五臓で『怒り』を主る『肝』が関係してきます。
『肝』の気が滞るのを『肝気鬱結』といいイライラの原因になることが多いです。
なので気の流れを改善する漢方薬はイライラも改善する事が出来ます。
加味逍遥散(かみしょうようさん)
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加味逍遥散は『気の流れ』『血の補充』『胃腸を整える』『体を冷やす』
作用がありバランスの良い処方です。
『肝気鬱結』の代表処方です。
イライラしてほてる人にはまず試してほしい処方です。
- 女性(男性でも可)
- イライラする(特に生理前)
- 体がほてる
- 生理前胸が張る
この様な症状にとても有効です。

抑肝散(よくかんさん)
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加味逍遥散と似ていますが抑肝散には『釣藤鈎』という生薬が入っているのが特徴。
この生薬が入っていると『めまい、ふらつき、歯ぎしり、夜泣き』などに効果があります。
- イライラ
- 歯ぎしりがある
- 夜泣きで悩んでいる(子母ともに)
- ふらつき、めまい

養生
『肝』の気が滞るのが原因の事が多いため
『気を動かす』養生をしましょう。
- 体を動かす
- おしゃべり、カラオケなど声を出す
- 香草などの匂いの強い食べる
- 薄荷(ミント)のにおいを嗅ぐ
- ストレスをためない
落ち込み、不安感

これは五臓の『心』が関係してくることが多い症状です。
そして精神安定物質でもある『血』『陰』の不足が関係してきます。
甘麦大棗湯(かんばくたいそうとう)
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甘草、小麦、大棗(なつめ)というすべて食材として使うことのできる生薬のみで構成された処方。
出典にも『あくびが多く悲壮感が強い女性(超意訳)』の処方と記載がある。
そのため女性で急に泣きたくなる(善悲)に絶大の効力を出す処方です。
- 女性
- 急に泣きたくなる
- 不安感
- ヒステリー
桂枝加竜骨牡蠣湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)
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竜骨(りゅうこつ)←動物の化石
牡蛎(ぼれい)←カキの貝殻
という気持ちを落ち着かせる生薬が特徴の処方。
特にこの2つは『重鎮安神薬』といってふわふわした気持ちをキュッと固め鎮めてくれる働きがあります。
体質改善に使う『桂枝湯』がベースの処方なので虚弱体質の人に向いた処方です。
- 寝つきが悪い
- 不安感
- 虚弱体質
- 疲れが酷い
天王補心丹(てんのうほしんたん)
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慢性病やストレス、過度な感情変化によって精神安定物質(陰)が不足した人の処方。
特に『心腎』の『陰』を補う処方。
『陰』は体を潤す働きもあるので全身の乾燥症状もともなう人にオススメ。
特に天王補心丹は体を潤す力が強い処方になります。
また『心』は精神を統括する臓器、『腎』の感情は『恐』なので『恐怖感』にも応用できると思っています。
- 不安感
- 恐怖感
- 動悸
- 口喝
- 便秘
- 眠りが浅い
養生
不安を悪化しないような養生を心がけましょう。
- 不安を煽るメディアみない
- 夜ふかししない
- インターネットで自分の症状検索しない
- カモミール、ラベンダーの香り
特にインターネットやニュースは要注意!
驚きやすい、びくびく、おどおど

決断を主る臓腑『胆』の気(エネルギー)がうまく巡らないと生じる症状。
- 胃腸が弱っている
- 甘い、脂っこい食事の過食
- ストレス
上記の行動で体に『痰(たん)』という不要なベタベタした物質が『胆』にたまるのが原因とされています。
少し意味合いが違うのですが『痰』はコレステロール、中性脂肪と考えると理解しやすいかもしれません。
温胆湯(うんたんとう)
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胃腸を整えることで不要な『痰』の発生を抑える作用。
『胆』の気の流れを改善し、たまった『痰』を排除する作用があります。
- 驚きやすい
- 悪心、嘔吐
- イライラ
- 口が苦い
- 便がベタベタする
あと舌の苔がべったりな人~
養生
『痰』とは体の不要な物質なので
- 代謝を促す
- ためない
というのを心がけましょう。
具体的には
- 運動をする
- 食べすぎない
- 水分をとりすぎない
- ストレスを溜めない
憂鬱感・くよくよする

不安感と似ている症状ですが。
中国語では『善憂思(ぜんゆうし)』といい
特徴として大した事ではないのに『考えすぎる』『思い悩む』という症状が出ます。
帰脾湯(きひとう)
日中はボーッとして、夜は寝れない人にオススメ。
日中のエネルギー(気)
夜間の鎮静成分(血)
を両方を補う処方です。
五臓の脾(胃腸)の感情は『思(思い悩む))』
帰脾湯は『心』『脾』を両方補う処方です。
胃腸を整え不安感を取り除く作用もあります。
- お布団であれこれ考える
- 精神不安定
- 疲れやすい
- 胃腸が弱い
- 出血傾向

ストレスが強く火照るタイプには『加味帰脾湯』の方がオススメ!
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養生
エネルギー(気血)不足で起きる症状なので消耗しない養生をしましょう。
不安感の養生に追加で
- 消化の良い食事
- 疲れをためない
産後の精神不安

産後は大量の気血を損傷してまった状態になります。
かつ気血の流れも悪くなってしまう時期で自律神経や内分泌系のバランスが乱れやすいです。
芎帰調血飲第一加減(きゅうきちょうけついんだいいちかげん)
厳密に言うと「婦人薬」の分類なのでですが軽度(婦人)の精神疾患によく効きます。
出産で失った気血を補い、流れも改善できる処方。
薬味も21味と多くマイルドに効いてくれます。
女性はぜひおぼえてほしい処方だよ!
- 精神不安定(イライラ、不安感)
- 産後
- 疲れやすい
- 体が冷える
- 月経不順

養生
産後の養生はとにかく無理をさせない!!
ストレスをかけない!!
栄養をとる!!
具体的には
- 体を冷やさない
- 少なくとも産後1ヶ月は無理しない
- 消化が良い食事を心掛ける
- 栄養価の高い食事をとる
- ストレスをかけない
おぼえておいてね!
中国では産褥期には
- 頭を洗わない
- 冷たい水を飲まない
- 歯を磨かない
- 冷たい風にあたらない
- お世話は周りの人がしてくれる
日本では参考程度に考えておこう。

まとめ

今回は精神安定の漢方をまとめました。
【イライラ】
- 加味逍遥散(ほてるタイプ)
- 抑肝散(夜泣き、ふらつきタイプ)
【不安感】
- 甘麦大棗湯(女性、急に泣きたくなる)
- 桂枝加竜骨牡蛎湯(虚弱体質)
- 天王補心丹(便秘、ほてる)
【驚きやすい】
- 温胆湯(ぽっちゃり、食べすぎる)
【憂鬱感、くよくよする】
- 帰脾湯(疲れやすい、考えすぎる)
【産後の精神不安】
- 芎帰調血飲第一加減(更年期にも)
ただ紹介した処方はとてもデリケートで相性があります。
一応理論的にまとめてみましたが
イライラの漢方薬【抑肝散】で不安感が解消されることなどもあります。
ぜひ自分にあった漢方薬を探してみてください。
遮断できるものはする!
それが一番の養生だよ!!